2020.03.12

会社法改正について(第2回)

のぞみ総合法律事務所
弁護士 劉 セビョク

1.株主総会資料の電子提供制度の導入

 今般の会社法改正により、新たに株主総会資料の電子提供制度が導入されることとなりました。
 これまでも、上場会社においては、コーポレートガバナンス・コードの要請に基づき、招集通知や、株主総会参考書類等の資料を株主への発送前からウェブサイトで開示する例が多く見られました。一方で、現行会社法において、会社は、ウェブサイトで株主総会参考書類等を開示している場合であっても、個別の株主の承諾がない限り、株主に対し株主総会参考書類等を書面(紙媒体)にて重ねて送付しなくてはならず(会社法第299条第2項、同条第3項、第302条第2項)、このことが、会社に過度な実務・費用負担を課すとともに、環境資源の浪費にもつながっているのではないかという指摘がなされていました。
 以上のような経緯から、改正会社法において、会社は、株主総会参考書類等の電子提供措置をとる旨を定款で定めることができるようになりました。具体的には、会社は、予め定款に定めておけば、以下の資料をウェブサイト等で公開することで、これらの資料を重ねて書面にて株主に交付しなくてもよいことになりました(改正会社法第325条の2、第325条の4第2項、同条第3項)。

  • 株主総会参考書類
  • 議決権行使書面
  • 会社法第437条の計算書類及び事業報告
  • 会社法第444条第6項の連結計算書類

※ 招集通知本体は、電子提供措置の対象に含まれていない点に留意する必要があります。

 会社法改正前から存続する株式会社のうち、上場会社をはじめとする、振替株式を発行している会社については、改正会社法施行の日に電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款変更の決議をしたものとみなすものとされています(会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第10条第2項)。

2.電子提供の時期、期間等

 電子提供制度の導入に伴い、電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の取締役は、当該株式会社が取締役会設置会社である場合等の一定の場合には、株主総会の日の3週間前の日又は株主総会招集通知を発した日のいずれか早い日から、株主総会の日後3か月を経過する日までの間、改正会社法第325条の3所定の事項に係る情報についてウェブサイト等で公開しなくてはなりません。
 そのほか、電子提供措置をとる株式会社においては、その会社が公開会社か否か、取締役会設置会社か否かに関わらず、株主総会の会日の2週間前までに招集通知を発送しなくてはならないと、新たに定められました(改正会社法第325条の4)。

3.書面交付請求

 株主の中には、パソコンやスマートフォンの操作に必ずしも長けていない人もいることから、改正会社法の審議段階では、電子提供制度に伴う、いわゆるデジタル・ディバイドの懸念が指摘されていました。
 そのため、電子提供措置を用いている株式会社においても、株主は、会社に対し、ウェブサイトを通じて電子提供されている株主総会参考資料等を、書面でも交付するよう請求することができます(改正会社法第325条の5)。

4.電子提供措置の中断

 電子提供措置をとる株式会社において、ウェブサイトのシステムの不具合などにより、株主総会参考書類等の提供を受けることができない期間が生じ、当該期間が電子提供措置開始日から株主総会の日までの期間の10分の1を超えた場合には、電子提供措置の効力が否定される(株主総会参考書類等が提供されていないものと判断される)可能性がありますので、注意が必要です(改正会社法第325条の6)。

まとめ(改正のポイント)

  • 電子提供措置について定款に定めておくことで、株主総会参考書類等については、ウェブサイトで公表すれば、別途株主に郵送しなくてもよいことになりました。
  • 電子提供措置を採用する会社は、必ず株主総会の日の2週間前までに招集通知を発送しなくてはなりません。
  • 会社が電子提供措置を採用する場合であっても、株主は、会社に対し、株主総会参考書類等を書面で交付するよう請求することができます。

 2019年12月に経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(案)」を公表したように、今後、株主総会プロセスの電子化・バーチャル化の傾向はより一層進むものと考えられます。
 株式会社においては、既存株主のニーズにも応えながら、時代に合わせた株主総会の在り方を追求していくことが期待されています。

 次回は、役員報酬に関する規定の改正について取り上げます。

以上

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